【ニューヨーク=清水孝輔】英フィナンシャル・タイムズ(FT)は29日、生成AI(人工知能)を開発する米新興企業オープンAIと提携すると発表した。オープンAIの対話型AI「Chat(チャット)GPT」がFTの記事データを学習し、出典を示した要約を作れるようにする。欧米の主要紙の間で生成AIを取り入れる動きが広がっている。
利用者がチャットGPTに質問すると、FTの記事を要約した内容を含む回答を表示できるようにする。回答には出典と元の記事に誘導するためのリンクを含む。チャットGPTはFTの記事を学習することで、ニュースなどに関する回答の精度を高められる。
FTは2024年初めにチャットGPTの法人向けサービスを契約した。FTの全社員がチャットGPTを使えるようにした。FTはチャットGPTを通じて、同社の読者のための機能開発に役立てる。
オープンAIは欧州の他のメディアとも同様の契約を発表している。3月には仏紙ルモンドのほか、スペイン紙エルパイスなどの発行元であるプリサと提携すると発表した。23年12月には傘下に米政治サイト「ポリティコ」などを持つ独メディア大手のアクセル・シュプリンガーとの提携も発表した。
米AP通信も23年7月にオープンAIとライセンス契約を結ぶと発表した。過去の記事データの一部をAIの学習に使う。一方でチャットGPTで直接的にニュース記事を要約できるようにはしていない。
FTとオープンAIは今回の提携に関する金銭面の条件を明らかにしていない。オープンAIと提携する他の大手メディアも契約内容を公表していない。
主要メディアの間では影響力を増すオープンAIへの対応が割れている。米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)は23年12月、オープンAIと同社に出資する米マイクロソフトを提訴した。NYTの記事を許可なくAIの学習に使ったのは著作権の侵害だと訴えている。
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