大手ゼネコン4社の2024年4〜9月期の連結決算が12日出そろった。同日、清水建設と鹿島はそれぞれ2025年3月期の純利益の見通しが従来予想より上振れすると発表した。同日までに発表した大成建設を含めて3社が今期見通しを上方修正した。上方修正の主要因は各社で異なるが、価格転嫁が進んだ建築工事の採算改善が下支えした。
清水建は今期純利益を前期比3.5倍の600億円と見込む。従来予想から200億円上方修正した。国内の建築工事が想定以上に進んだほか、受注時の採算確保の取り組みや工事費の価格転嫁が寄与した。単体の建築完成工事損益率は7.1%のプラスと、前期の2.9%のマイナスから大きく改善した。政策保有株の売却益も計上する。
清水建の山口充穂執行役員は12日の決算会見で「全社を挙げて受注時採算の改善に取り組んでおり、今期に完成する中小型工事で利益が出ている」と説明。「資材価格の高騰に伴う価格転嫁について顧客の理解も進んでいる」とも語った。
同日、連結純資産に占める政策保有株の残高を27年3月末までに10%以下にする新たな目標を掲げた。27年3月末までに20%以下とする目標を1年前倒しして達成をめざす。政策株の25年3月期の売却額は計600億円を見込み、売却で得た資金はM&A(合併・買収)などの成長投資や配当、自社株買いに充てる。
株主還元を手厚くするとも発表した。今期の配当を年35円(前期は年20円)と従来予想から12円上積みした。最大200億円の自社株買いで発行済み株式数(自社株を除く)の約4%に当たる2600万株を上限に買い付ける。取得は13日〜25年3月31日。
同日、午後の決算発表などを受けて清水建株は急騰し、一時前日比21%高の1247円をつけた。終値は前日比20%高の1236円だった。
鹿島は今期純利益を前期比1%増の1160億円と見込む。従来予想(9%減の1050億円)から一転、増益となる。国内の土木工事で設計変更に伴う追加工事を獲得して売り上げと利益を押し上げた。マンション販売で採算が改善した。
大成建は今期純利益が前期の2.1倍の830億円になる見通しだ。従来予想から180億円上方修正した。平和不動産を6月に持ち分法適用会社とし営業外損益が改善する。政策株の売却も利益を押し上げる。
清水建と鹿島、大成建の3社は今期通期での国内建設の受注高見通し(単体ベース)も上方修正した。大林組を加えた4社の合計は前期比12%減の5兆6650億円と5550億円上振れする。建設需要が豊富ななか各社は工期を確保しながら受注を増やす。
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