JR西日本は30日、2024年3月期の売上高が前年より17.2%伸び、過去最高の1兆6350億円になったと発表した。本業の利益にあたる営業利益は前年の2.14倍の1797億円、最終的なもうけにあたる純利益は前年より11.6%増の987億円だった。コロナ禍からの利用者の回復に加え、インバウンド観光客の増加が好業績につながった。

 JR西日本単体の運輸収入は前年比21%増の8405億円。このうち外国人専用の周遊券の売り上げなどのインバウンド関連収入は355億円で、コロナ禍前の19年3月期の311億円を上回った。

 25年3月期は、24年3月に開業した北陸新幹線の敦賀延伸の影響なども織り込み、8870億円と過去最高の運輸収入を見込む。グループ全体では、売上高は前年より5%増の1兆7180億円、営業利益は5.4%減の1700億円、純利益は1.3%増の1千億円との予想を出した。

 コロナ禍前に比べて目立つのが、鉄道事業での電気代や修繕費、人件費などの費用増だ。このために売上高は24年3月期に過去最高に達したものの、同期の営業利益は過去最高だった19年3月期の水準より170億円ほど低い。

 30日に記者会見に臨んだ長谷川一明社長は「コスト構造改革に取り組んでいるが、様々なものが値上がりしている」と説明。「インフレ社会到来ということで、これから運賃をめぐる議論も深まっていくのではないか」と語り、値上げをしやすくするような規制緩和への期待をにじませた。(西村宏治)

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