九州電力は、グループに分散していた再生可能エネルギー事業を子会社の「九電みらいエナジー」(福岡市)に統合した。脱炭素化が進む中、太陽光や地熱などで発電した電力は需要の拡大が見込まれており、再生エネ事業の一本化で電源開発などを加速させ、グループの成長事業の柱に育てたい考えだ。利益水準を2050年までに7倍にする目標を掲げている。
みらいエナジーは2014年設立で、再生エネの主な電源のうち、風力、太陽光、バイオマスを中心に発電してきた。九電本体も地熱と水力発電を運営しており、地熱を4月1日付でみらいエナジーに移管。水力も移管の準備を進めている。110万キロワット程度だったみらいエナジーの電源は、九電の水力と地熱が加わることで262万キロワットとなり、国内の再生エネ発電事業者としてはトップクラスの規模となる。
再生エネの中で、水力や地熱、バイオマスは季節や昼夜に関係なく安定的に発電でき、工場やデータセンターなどの需要に対応しやすい。一方で風力や太陽光は天候などに左右されるものの、今後の電源開発の余地は大きい。再生エネ5電源をバランスよく持つのが強みで、安定的に得た収益を電源開発に投資し、洋上風力発電などの開発を加速させる。
25年には北九州市の沖合で洋上風力発電の運転開始を予定。また、長崎県雲仙市で将来の地熱発電所新設にむけた調査を始めるなど、電源開発を進めている。
4月17日にみらいエナジーが発表した「2050年経営ビジョン」では、再生エネに関するコンサルティング業務などの関連事業を拡大させる。将来的には再生エネで生成した水素の販売といった新事業に取り組む方針だ。稼ぐ力を示すEBITDA(経常利益に支払い利息と減価償却費を加えた指標)を1500億円以上と設定。24年度見通し(約200億円)から7・5倍に増やす目標を掲げた。
九電の池辺和弘社長は「再生エネの主力電源化を前に進める取り組みだ。日本の脱炭素化をリードしていく」と話した。【久野洋】
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