30日の東京外国為替市場の円相場は、1ドル=156円台後半を中心に推移した。前日の海外市場では一時1ドル=160円台まで下落した後、154円台半ばまで急反発し、市場では政府・日銀が為替介入に踏み切ったとの観測も広がった。30日は日米の金利差を意識した円売り・ドル買いがみられたものの、介入に対する警戒感も根強く、値動きは限られた。
午後5時現在は、前週末比15銭円安・ドル高の1ドル=156円85~87銭。
市場では、政府・日銀が29日に為替介入の有無を明らかにしない「覆面介入」を実施したとの見方が出ており、政府の発言にも注目が集まった。岸田文雄首相は30日午前、記者団に対し「為替介入についてはその有無も含めて(政府として)コメントは差し控える」と述べるにとどめた。
同日午前に記者団の取材に応じた財務省の神田真人財務官も介入の有無は明らかにしなかったが「必ず5月末にはしっかりとディスクローズ(開示)がなされるように手配をする」と語った。また「過度の変動が投機によって発生すると国民生活に悪影響を与える。しっかり対応していかなければならない」と述べ、市場の投機的な動きをけん制。「24時間態勢」で対応する考えも示した。
今後は米連邦準備制度理事会(FRB)が30日~5月1日に開く連邦公開市場委員会(FOMC)後のパウエル議長の記者会見に関心が集まる。ニッセイ基礎研究所の上野剛志・上席エコノミストは「会見でパウエル議長が利下げに慎重な姿勢を示すとドル高の圧力が高まり、再び日本の通貨当局との神経戦になりそうだ」と指摘する。【杉山雄飛、内田帆ノ佳、井口彩】
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