伊藤忠商事は1日、中古車販売大手ビッグモーター(BM)の主要事業を引き継いだ新会社を同日発足させたと発表した。新会社の社名は「WECARS」(ウィーカーズ)とした。
伊藤忠と、国内投資ファンドのジェイ・ウィル・パートナーズ(JWP)、伊藤忠の子会社で燃料事業などを手がける伊藤忠エネクスの3社が、出資金と借入金の引き受けなどを含め600億円を拠出。議決権ベースの持ち株比率はJWPが95%、伊藤忠グループが5%だが、数年後には伊藤忠がJWPから株を買い取り傘下に収める。
会社分割方式により、中古車の買い取りや販売などBMの主要事業を新会社が引き継ぎ、切り出した後の旧会社は訴訟対応や債務返済などを担う。BMの約250ある店舗と約5000人の従業員は新会社が引き継ぐ。
新会社の社長と副社長には伊藤忠グループの幹部が就任し、創業者の兼重宏行前社長らは経営に関与しない。また、社外取締役には伊藤忠やキヤノンでも社外取締役を務める前消費者庁長官の伊藤明子氏(62)を充て、事業の再建や不祥事の再発防止に向けた組織作りを急ぐことにしている。
BMをめぐっては2023年7月に保険金の不正請求が明らかになって以降、業績が悪化。全国の店舗周辺で街路樹が枯れたり、伐採されたりする被害の表面化も相次ぎ、経営不振に陥っていた。これに対し、伊藤忠は同年11月、3社連合でBMから独占交渉権を得て、事業再建の可能性を探るための資産査定を実施。店舗網などの強みがあることから再建できると判断した。【加藤結花】
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。