伊藤忠商事は1日、中古車販売大手ビッグモーター(BM)の主要事業を引き継いだ新会社を同日発足させたと発表した。新会社名は「WECARS」(ウィーカーズ)とし、店舗名も同じにする。保険金不正請求問題などで失った信頼を取り戻し、再建に向けた組織作りを急ぐ。
新会社の社長CEO(最高経営責任者)には元伊藤忠商事執行役員の田中慎二郎氏(61)が就任。同日、東京都内の伊藤忠本社で開かれた記者会見で、田中社長は「過去の経営と一部の社員の行いによって信頼を失った。再生、成長のためには、お客様を第一に考える組織に生まれ変わる必要がある」と述べた。
社外取締役には伊藤忠やキヤノンでも社外取締役を務める前消費者庁長官の伊藤明子氏(62)を充てるほか、伊藤忠グループから50人超を派遣。BMの約250ある店舗と約4200人の従業員も引き継ぐ。店舗の看板は当面BMのままだが、順次切り替える。
BM創業者の兼重宏行氏らは経営に関与しない。中古車の買い取りや販売などBMの主要事業を切り出した後の旧会社はBM社長だった和泉伸二氏がトップにとどまり、訴訟対応や債務返済などを担う。
新会社には伊藤忠と、国内投資ファンドのジェイ・ウィル・パートナーズ(JWP)、伊藤忠の子会社で燃料事業などを手がける伊藤忠エネクスの3社が共同出資し、約400億円拠出した。2~3年後をめどに伊藤忠の100%子会社を目指す方針。
BMを巡っては2023年7月に保険金の不正請求が明らかになって以降、業績が悪化。全国の店舗周辺で街路樹が枯れたり、伐採されたりする被害の表面化も相次ぎ、経営不振に陥っていた。これに対し、伊藤忠は同年11月、3社連合でBMから独占交渉権を得て、事業再建の可能性を探るための資産査定を実施。店舗網などの強みがあることから再建できると判断した。【加藤結花、安藤龍朗、秋丸生帆】
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