「子どもの貧困」認知度が大幅低下

子ども支援を専門とする国際NGOのセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは2024年7月、「子どもの貧困」に関するWebアンケートを実施。調査は19年以来5年ぶりで、国内最大規模という

調査の対象は「一般層」として、全国の15歳から80代以上までの3万人と、「当事者層」として、同団体が過去にサポートした非課税世帯の13歳から70代以上までの約2400人。いずれも17歳までを子どもとした。

「日本における子どもの貧困を知っているか」という設問に対して、子どもも大人も、「知っている」の割合が減少。「知らない」が増加し、大人の約半数は「聞いたことがない」と回答した。

子どもの貧困の認知度が大幅に低下している背景として、「少子化で子どもの存在が大人にとって身近でなくなったこと」や、「子どもの貧困に関する報道数の減少」が理由と考えられるという。

国や自治体に求める施策は?

「子どもの貧困対策のため国や自治体が取り組むべきこと」として、20の選択項目を用意。一般層の子どもと大人、当事者層の子どもと大人に分けて分析した。

「制服・教材・給食費など学校生活にかかる費用の無料化」については幅広く支持されたが、一般層と当事者層が大きくかい離する項目もあった。

「ひとり親に対する給付の充実」、「子のいる保護者への給付の充実」について、一般層の大人は3割未満だったが、当事者層は7割超が取り組むべきとした。

当事者には「親への給付充実」が子どもの貧困解決の有効打になると考える人が多い一方、一般層は同様に捉えていないことが分かる。

「本来制度を利用できる人に向けての周知と、利用しやすさの改善」「子どもの意見を施策に反映できる仕組み作り」については、一般層の子どもと当事者層の子どもの差が顕著だった。

特に「制度を利用できれば貧困解決につながる」と考える当事者は7割超と多い。これは、当事者層の子どもが「もっと制度を知り、利用できるものは利用したい」とわらをもつかむ思いでもがいていることの現れではないか。ある程度満たされている一般の子どもは、貧困を実感していない以上、そもそもそうした制度の存在に関心を持ちにくいのだろう。

子どもの貧困解決のため、何が必要か。当事者とそうでない人の間で、有効と考える支援について意見が分かれることが、今回の調査で浮き彫りとなった。調査を実施したセーブ・ザ・チルドレンは「政策や制度の検討・実施は、当事者の子ども・大人の意見を反映することが不可欠。今回の結果をよりよい政策への提言に生かしたい」としている。

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