今の所得税の制度では、退職金を一括で受け取る場合、勤続年数が20年までは、1年につき40万円が退職所得から控除されますが、20年を超えた分は、控除額が1年当たり70万円に引き上げられます。

勤続年数が長いほど税負担が軽くなる終身雇用を前提とした仕組みで、政府は、去年の「骨太の方針」などで、転職者が増えている今の実態を踏まえた税制に見直す方針を示していました。

これを受けて、来年度の税制改正では、その扱いが焦点となっていましたが、政府・与党は、今回は具体的に結論を出すことを見送る方向となりました。

与党と国民民主党との間で、年収「103万円の壁」の見直しなどをめぐり税制協議が進んでいる中、退職金にかかる税制の見直しは、住宅ローンの返済や老後の生活設計などに大きな影響を及ぼすことから、時間をかけた丁寧な議論が必要と判断したものとみられます。

退職金への課税のあり方は、税の有識者でつくる政府税制調査会でも長年、議論され、労働市場の流動化が進む中、本格的な見直しがいつ行われるのか引き続き、焦点となります。

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