このうち、カナダにはトヨタ自動車とホンダの工場があります。
JETRO=日本貿易振興機構によりますと、トヨタは現地で生産台数が最も多いメーカーで、去年は52万台余りを生産しています。
一方、現地での販売は22万台余りで、台数は公表していませんが、アメリカにも輸出しています。
また、ホンダは去年、2番目に多い37万台余りを生産していて、アメリカには77%にあたるおよそ29万台を輸出しています。
前のトランプ政権のもとで4年前に発効した「USMCA」=「アメリカ・メキシコ・カナダ協定」では、関税がゼロになる条件として、部品の域内調達の拡大や、時給が16ドル以上の工場で生産することが求められ、各社は対応を迫られました。
トランプ次期大統領が実際に関税を25%に引き上げた場合、各社の生産や販売の戦略に影響を与えそうです。
さらにバイデン政権が打ち出したEVなどの税制優遇措置、インフレ抑制法がトランプ政権のもとで継続されるかどうかも焦点です。
インフレ抑制法では北米で製造された電池用の部品を使って、最終的に北米で組み立てられたEVなどを対象に税制が優遇されます。
こうした中、ホンダはカナダにEVと電池の工場を新たに建設し、2028年に稼働する予定で、電池の部材についても旭化成などと合弁で現地に工場を建設して生産します。
旭化成の工藤幸四郎社長はことし4月の会見で、インフレ抑制法について「投資判断の後押しとなった」と述べていて、税制上の優遇がなくなれば、EVの販売戦略などに影響を与えそうです。
日系企業への影響は
外務省の去年10月時点の調査によると、カナダには、日系企業の支店や現地法人などの拠点が、982あります。
特に自動車メーカーの存在感が大きく、JETRO=日本貿易振興機構がまとめたレポートによると、カナダ国内に工場を構えている「トヨタ自動車」と「ホンダ」の2社の去年1年間の生産台数は、カナダ全体の生産台数の6割近くにあたります。
こうした日系企業はカナダ国内のほか、アメリカにも製品を輸出していて、JETROの去年の調査によると、製造業では、アメリカ向けの販売比率が3割を超えています。
日系企業がアメリカ向けの製品の生産拠点をカナダに置く背景には、アメリカへ輸出する際、一定の条件を満たせばこれまでは関税がかからなかったほか、EVのバッテリーに使われるリチウムや黒鉛といった鉱物資源が豊富なことなどがあるとみられています。
日系企業の進出の動きを日本・カナダ両国の政府も後押ししていて、去年9月には、日本企業がカナダにバッテリーの生産工場を建設する際に支援することなどを盛り込んだ覚書を両国政府の間で結んでいます。
アメリカのトランプ次期大統領がカナダに25%の関税を課す考えを示す中、日系企業のカナダへの進出にどのような影響が出るか、注目されます。
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