あおぞら銀行の大見秀人社長=東京都千代田区の同行本店で2024年12月2日午前9時50分、成澤隼人撮影

 「これまで他社が困難だという領域にチャレンジし、新たな市場を開拓してきた。さらに企業経営の根幹や個人の人生設計に深く関われる金融機関を目指す」。あおぞら銀行で4月から社長に就任した大見秀人氏(59)は、得意とする企業の合併・買収(M&A)や新興企業向けの融資を拡大し、業績回復に注力する決意を語った。

 日本債券信用銀行が前身の同行は「メガバンクでも地域金融機関でもない銀行」の立ち位置を生かし、専門性の高い融資を手がける。借り手のリスクが低減する不動産のノンリコースローン(返済原資を賃貸収入などに限る融資)といった国内であまり浸透していなかった融資手法にいち早く取り組んできた。

 大見氏は企業が金融機関から資金を借り入れて実施する買収(LBO)で、その融資を長く担当してきた。企業のM&Aや事業承継が増えるなか、近年LBOの需要が高まっており、「20年前とは全く景色が変わった。運転資金の調達や設備投資に加え、事業構造改革のためにお金を使おうという企業が増えている」と話す。

 2024年3月期は、米国のオフィス向け不動産市況の悪化などで499億円の最終損失を計上し、15年ぶりの赤字に転落した。大見氏はこれまでの海外重視を転換し、国内市場に重点を置く。LBOローンやベンチャー企業向けの融資に力を入れる考えで、25年3月期は180億円の黒字転換を見込む。

 鍵を握るのは会社の垣根を越えた銀行と証券会社の連携だ。5月に大和証券グループ本社と業務資本提携を結び、人材交流も進めている。今後、顧客の紹介など関係を広げていく方針という。

 「証券会社の視点やノウハウは行内に刺激を生んでいる。日本がデフレから脱却して成長していくために、協業を足がかりに企業のさまざまな資金調達ニーズに応えていきたい」と意欲をにじませる。【成澤隼人】

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