商社の業界団体である日本貿易会は6日、通関ベースの貿易収支が2024年度に3兆7350億円の赤字になる見込みだと発表した。前年度に比べ、赤字幅は2兆3190億円縮小した。世界経済の成長鈍化で輸出数量は減少するものの、物価高や円安傾向で輸出品の価格が上昇して輸出額は伸びる見込み。
輸出額は前年度比5%増の108兆3880億円で過去最高を更新する見込みだ。自動車などの輸送用機器や半導体部品の伸び幅が大きい。輸入額は3%増の112兆1220億円を見込む。銅など原料品や食料品、化学製品など幅広い分野で増加を見込む。
25年度は24年度よりも円高となり、世界経済は復調すると日本貿易会は予想する。トランプ政権の追加関税や地政学リスクなどの不確定要素はあるが、通関ベースの貿易赤字は300億円まで縮小すると見込む。
通関ベースの貿易収支は赤字の一方、投資先の海外企業からの配当などを含めた経常収支は24年度に29兆1620億円の黒字と過去最高を記録すると予測した。総合商社をはじめ海外企業へ投資する日本企業は増えており、25年度も最高を更新する見込みだ。
ただ、海外IT大手のクラウドサービスの利用や動画配信サービスの利用に伴うデジタル赤字は拡大している。調査をとりまとめた双日総合研究所の白鳥泰彦情報調査室長は「デジタル赤字は今後も増える。日本経済の実態を見るには貿易収支だけでは見誤る」と注意を促した。
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