日本製鉄は9日、米鉄鋼大手USスチールの買収計画に関連し、同社の従業員向けに声明を出した。買収に反対する全米鉄鋼労働組合(USW)の執行部が4日に公開した映像の内容に対して反論した。USスチール買収後の設備投資についてのUSW執行部とのやり取りも開示した。
声明は買収計画を統括する森高弘副会長兼副社長の名前で出した。日鉄は最近実施したUSW執行部との協議で、買収計画などについて説明したほか、組合側の要望も聞き取っていた。協議を踏まえて日鉄は2日、USWのデービッド・マッコール会長宛てに買収後の計画する設備投資の詳細の情報を送っていた。
こうしたやり取りの途中に、マッコール氏は組合員向けの映像を公開し、日鉄の買収計画を再び非難した。既存の高炉設備ではなく、組合員が所属しない米南部の電炉の製鉄所に「日鉄は最終的には生産を移管する」などと主張した。日鉄はこれらの反論を声明とともに公表した。
日鉄は声明の中で「事実をご自身でお確かめください」としたうえで、マッコール氏に送った設備投資の情報も開示した。機密に関わる部分は黒塗りとしたが、高炉などの各設備ごとの投資日程や、USWやUSスチールの本社のあるペンシルベニア州とも定期的に協議する場を設ける計画などを記載し、従業員に理解を求めている。
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