全国の酪農関係の団体でつくる「中央酪農会議」によりますと、日本の酪農家の数は減少傾向が続いていて、ことし10月時点で去年の同じ月より5.7%減った9960となり、2005年に調査が始まってから初めて1万を下回りました。

このうち230余りの酪農家を対象に行ったアンケートでは、ことし9月の経営について
58.9%が「赤字」と回答したほか、「離農を考えることはあるか」聞いたところ47.9%が「ある」と答えたとしています。

この背景の1つとして、農林水産省は酪農家の所得の減少をあげています。

農林水産省の調査によりますと、2022年の生産コストは餌代の高騰などの影響でそれまでの10年間(2013年~2022年)の平均より18%余り上昇しました。

一方、収入はほぼ横ばいの状態が続いているため、手元に残る所得は10年間の平均より60%減ったということです。

このため、農林水産省は酪農家の手取りを確保しようと、コストの増加分を価格に転嫁しやすくする仕組みの検討などを進めています。

専門家 “餌の国産化 さらに進める必要”

餌の価格高騰が酪農家の経営を圧迫していることについて、農業経済学が専門の北海道大学大学院の小林国之 准教授は、中長期的には輸入が半分程度を占める餌の国産化をさらに進める必要があると指摘しています。

この中で小林准教授は「酪農の経営コストの半分近くは餌代が占める。海外から輸入している穀物や牧草などの餌代はこの数年で以前の倍近くに上がり、酪農経営に大きな影響を与えている」と指摘しました。

そのうえで、中長期的に国内の酪農を支えていくには、現在、輸入が半分程度を占めている餌の国産化をさらに進める必要があるとして「地域の農家が連携してこれまで水田だった所で牧草を作るなど、餌の確保を目指す取り組みも徐々に始まっている。手間はかかるけれども地道な取り組みをどう育てていくかが非常に重要なポイントだ」と述べました。

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