「最北の秘境駅」で知られる北海道稚内市のJR宗谷線抜海駅について、工藤広市長は11日、開会中の市議会で、改めて廃駅の方針に変わりがないとの考えを示した。千葉一幸議員(志政会)の一般質問に答えた。「観光的価値」について最後まで議論がかみあわず、傍聴した地元住民からは不満と落胆の声が漏れた。
千葉議員は、署名活動など駅存続へ向けた地元の取り組みや、映画やドラマのロケ地として使われ、多くの観光客が訪れている抜海駅の観光的価値をどう考えているのか、とただした。工藤市長は、極端に地元住民の駅利用が少ないことを廃駅の理由として述べるにとどまり、観光的価値についての自身の考えを明言しなかった。
抜海駅の地元は2町内会合わせて60人弱。少子高齢化で過疎が進み、駅利用者が増える可能性はない。それでも駅舎の清掃から開業100年の記念イベント、秋サケ祭りなどを独自で開催し、全国の鉄道ファンらとの交流人口増に取り組んできた。
それだけに傍聴した地元住民からは「相変わらず観光的な価値の話になると話をずらす。廃駅に凝り固まり、聞く耳を持たない」「駅利用者らに『とほ宿』として愛されてきた民宿はどうなるのか」と悔しさをにじませた。近く来春のダイヤ改定が発表される予定で、抜海町内会の森寛泰会長は「最後まで諦めない」と語った。
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