全国の文具店などで買うことができ、価格は1本あたり132円。ラインアップにはピンクやオレンジといったベーシックな色を中心に10色をそろえた。10月下旬に発売し、初動の出荷本数は計画比の1.5倍だった。
「学生に売れる蛍光ペンがないという課題があった」とグローバル企画部の泉百花氏は語る。同社は消せるボールペン「フリクション」シリーズが主力で、蛍光ペンもラインアップに含まれている。ただ「フリクション」シリーズは社会人の男性が主要な購買層で、蛍光ペンの主要ターゲットである学生向けでは同社は出遅れていた。
市場シェアでは多色展開を進めているゼブラ(東京・新宿)の「マイルドライナー」や三菱鉛筆の「プロパス・ウインドウ」などが上位に来ている。プロパスはペン先に窓がついており、引いている線を見失わない工夫がされている。
新商品の特徴の一つが新たに開発した「キチントガイド」だ。線を引く時のガイドとして、ペン先の両側にプラスチックの突起部を付けた。補助があるため真っすぐな線を引きやすいほか、筆圧をかけすぎずに書けるため、筆跡のにじみも防止できる。ペン先自体も工夫し、通常よりしなりやすい素材を使うことで、書きやすさを高めた。
乾燥が速い「速乾」のインクも新しく開発した。インクの乾きを早めたい場合、通常はインクが紙に浸透しやすい素材を使う。一方で浸透の具合を高めすぎると、紙の裏にインクが漏れる「裏抜け」を起こしてしまう。新商品では裏抜けがしにくく、乾きも速いインク調合のバランスを求めた。
泉氏は「『キレーナ』を蛍光ペンのスタンダードにしていきたい」と話す。ガイドがついているなど、他社の商品にない機能性の高さを訴求する。
10月から国内外で販売を始めた。同社によると、蛍光ペンの国内市場規模は約50億円だが、世界全体では約1500億円になり、国内より海外の方が市場が大きい。海外では中国や韓国、シンガポールなど学生の受験熱が高いアジアの国や地域を中心に輸出していく。
フリクションシリーズなどがロングセラーとして売れ、同社は売上高の過半を国外が占める。新商品の海外出荷は初回分の注文のみで終わってしまうことも多い。今後はいかに定番品として、使ってもらうかが課題となる。(柴田唯矢)
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