写真はイメージ=ゲッティ
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 忘年会シーズンでにぎわう居酒屋。だが、倒産件数は新型コロナウイルス禍を超え、年間最多を更新するペースだ。大手と中小企業で明暗が鮮明となっている。

 帝国データバンクの調査によると、2024年1~11月の大衆酒場や焼き鳥店などの「居酒屋」の倒産件数は203件。新型コロナ禍で倒産が相次いだ20年の年189件を超え、23年の同204件に迫る。居酒屋の市場規模は、新型コロナ禍中の21年度に約8900億円まで縮小。その後回復が続くが、24年度の推計は1兆6600億円とコロナ禍前の水準(約1兆8900億円、17年度)に届いていない。

居酒屋の倒産件数の推移。2024年は過去最多となることが濃厚となった=帝国データバンク提供
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 23年度に最終赤字となった居酒屋も約4割を占め、倒産予備軍も多そうだ。経営不振の要因として帝国データバンクは、物価高による食材や酒類の仕入れ価格の高止まりや、人件費・光熱費などのコスト増が収益を圧迫していると分析する。

 そんな中で好調なのが「ミライザカ」「三代目鳥メロ」などを運営する居酒屋大手のワタミだ。12月の忘年会など宴会の予約状況は、件数や客数、売り上げが前年比を約1~2割上回って推移している。ワタミの担当者は、2次会や3次会と続いた新型コロナ禍前と異なり「最近は1次会だけが主流。その分、少しぜいたくな宴会を選ぶ傾向がみえる」と話す。

 「ぜいたく」志向を受けワタミは今年、忘年会に向けて高価格帯のコースを新たに設けるなど対応を強化。宴会コースの予約価格帯は今年、23年に最多だった「4000円台」が減る一方で「5000円台」が増えるなどし、客単価も上がった。

 倒産した203件の居酒屋を資本金の規模別にみると、最多は「100万円未満(個人含む)」の100件で、「100万~1000万円未満」が86件と中小規模の企業が多くを占めた。帝国データバンクは「中小零細の居酒屋では対応策も限られており、コロナ禍では見えづらかった居酒屋の優勝劣敗がさらに進む」とみている。【嶋田夕子】

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