電気事業連合会の林欣吾会長(中部電力社長)は2日、インタビューに応じ、欧州などで廃止論が強まっている石炭火力発電について「(日本では)最後まで大きな役割を担う」との認識を示した。先進7カ国(G7)は先月末に開かれた気候・エネルギー・環境相会合で、脱炭素化に向けて2035年までに石炭火力を原則廃止することで合意した。これに対し、林氏は新しい技術によって二酸化炭素(CO2)排出量を抑えられると訴えた。
気象条件で出力が変わる太陽光など再生可能エネルギーの導入が進む中、林氏は電力の安定供給に火力による調整が不可欠だと主張。特に、石炭火力について「いきなり休・廃止というよりも、責任を持って(CO2削減の道筋を)説明していく」と語った。
温室効果ガスの排出量を抑制する新技術としては、発電所から出るCO2を回収して地中に貯留する「CCS」や、燃料の一部を水素・アンモニアに置き換える「混焼」の実用化に期待を表明。政府が年度内の改定を目指す「エネルギー基本計画」で、CO2排出対策と組み合わせた石炭火力の役割について「位置付けをはっきりさせてほしい」と求めた。
インタビューに答える電気事業連合会の林欣吾会長=2日、東京都千代田区
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