群馬県沼田市の良食味米の生産者6人が、このほど開かれた国内最大規模のコンクールで金賞2人を含め、全員入賞以上となった。いずれも群馬大学が開発した天然由来の土壌改良材を使っており、2025年秋から安全安心な良食味米として本格的に販売する。
6人が使った土壌改良材は群馬大の板橋英之教授の研究室が開発した「GUD(グッド)アグリ」。いずれも農業法人の金井農園(沼田市)の金井繁行代表を中心とした沼田市の生産者グループのコメ農家で、ブランド米「真田のコシヒカリ小松姫」を生産している。6、7日に山梨県北杜市で開かれた「米・食味分析鑑定コンクール国際大会」の国際総合部門で田村卓也氏が、大型農業法人部門(20ヘクタール以上)で松浦力氏がそれぞれ金賞に輝いた。ほかの4人も国際総合部門などで特別優秀賞となった。
GUDアグリは杉の樹皮(バーク)など未利用バイオマスから作る。田んぼのカドミウムなど重金属を固定し、コメに吸収されにくくする。カドミウム汚染された中国の水田で実験中に食味が向上し、2019年から沼田市の水田で検証を進めてきた。今後は群馬大発ベンチャー企業、グッドアイ(桐生市)で生産者の声も聞きながらコメ農家向けのGUDアグリの価格や販売方法を検討する。沼田市の農家はGUDアグリを使ったコメを25年秋から本格販売する。
県庁で16日記者会見した板橋教授は、GUDアグリが食味を向上させる理由は未解明としたうえで「田んぼが還元状態となり植物にとって過酷な条件になることで食味が上がった可能性はある」と話した。金井農園の金井代表は「沼田のような中山間地では大規模化は難しい。少し高くても、安全でおいしいから買ってもらうしか生き残る道がない。この資材は希望の星だ」と語った。
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