東レは17日、天然ガスやバイオガスから二酸化炭素(CO2)を分離する膜の実証生産設備を滋賀県内の工場に導入すると発表した。2025年度中の稼働開始を目指し、量産技術構築に向けての検証や、生産した膜を使った実証実験を進める。35年までをめどに売上高で100億円規模を目指す。
数億円を投じて実証生産設備を設けて量産に向けた技術構築を進める。生産した膜で自社内や社外と連携しての実証実験も目指す。26年度中の顧客への販売開始を目標としており、実証設備で初期の量産にも対応する。
膜は炭素繊維を用いた細い形状で、膜を束ねて容器にいれて使用する。東レが手掛ける炭素繊維と、海水などから不純物を取り除く水処理膜の技術を融合させた。ガスの分子サイズがそれぞれ異なることによる透過度の差を利用して、CO2やその他のガスなどを分ける。
自社内での実験では、バイオガスを発酵させてできたメタンやCO2の混合ガスから膜を使ってCO2が分離でき、メタンの濃縮につながった。今後はバイオガスや天然ガスの精製向けのほか、最終的には火力発電所などから出る排ガスからも分離し、回収して再利用する「CCU」や地下に貯蔵する「CCS」など向けの利用も目指して膜の開発や技術検証を進める。
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