次世代半導体の量産化を目指すラピダス(東京)は18日、北海道千歳市に建設中の工場に2ナノメートル級の量産化に必要な最先端の露光装置を搬入し始めたと発表した。来春に予定する試作ラインの稼働に向けた準備が大詰めを迎えている。
搬入し始めたのは、オランダのASML社が世界で唯一、製造する「極端紫外線(EUV)露光装置」。波長が極めて短い光を使い、半導体のシリコン基板に微細な回路を焼き付ける。装置は幅10・3メートル、奥行き3・2メートル、高さ3・4メートルで、重さは71トン。ASMLによると、1時間に220個の基板を処理できるという。
国内でこれまでに研究用に使われた事例はあったが、量産化に向けて導入されるのは初めて。
装置の一部は14日に第1便が空輸で到着し、12月中に複数回に分けて搬入される。台数や価格は非公表。来年4月に予定する試作ラインの稼働で運用する。ラピダスの技術者は、米アルバニーのIBMの施設でEUV露光装置を使って研究や手順の確認をしているという。
設置はASMLの社員が担うため、千歳駅前に事務所がすでに開設された。スタッフ50人を常駐させ、技術協力する。
ラピダスは18日、千歳市の新千歳空港で搬入開始の記念式典を開催。小池淳義社長は工場建屋の完成度が88%に達していると明かし、「(EUV搬入は)日本から世界に最先端の半導体を届けられる第一歩になる」と述べた。また、ASMLのジム・クーンメン最高顧客責任者は「我々はラピダスの成功に100%コミットメントしている」と強調した。
式典後の記者会見で、小池社長は「EUV1、2台で目標は達成できない。性能を確認した上で導入台数を決める」と語った。【片野裕之】
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