記者会見を終え、握手を交わす三菱重工業の次期社長に決まった伊藤栄作常務執行役員(左)と会長に就く泉沢清次社長(18日、東京都千代田区)

三菱重工業は18日、2025年4月1日付で伊藤栄作常務執行役員が社長に昇格する人事を発表した。同日記者会見した伊藤氏は「たくさんのピースを持ち、賢くつなぐことで大きな価値を短い時間で実現できる」と述べた。代表権のない会長に就く泉沢清次社長も記者会見に出席した。主なやりとりは以下の通り。

――三菱重工の強みは。

伊藤氏「強みは多様な人材、技術分野、製品事業分野を持っていることだ。コングロマリット(複合経営)のデメリットを指摘する方が多いが、変化の大きい時代、社会においては、たくさんのピースを持ち、賢くつなぐことで大きな価値を短い時間で実現できる。そうしたポテンシャルが最も高く、今から伸びる要素がたくさんある会社だ」

――三菱重工の課題は。

伊藤氏「よく知らない分野にもかかわらず、大きなプロジェクトに準備が足りないままチャレンジしてしまうことがある。顧客の要望を全て実現しようと努力した結果、コストがかさんだり時間がかかってしまったりする。責任感が強いということではあるが、先を読んだりよく調べて準備すれば克服できることだ」

――成長を期待している分野は。

伊藤氏「例えば物流の『2024年問題』などに応えるために、自動化・自律化の技術を準備している。工場の自動化や、機械と機械が連携して自律して動くようにする分野は当社に合った分野だ。従来から取り組んでいるデータセンターや燃料転換に関する分野でも、成長戦略の確度を上げるための準備を進めている。一緒にやっていくパートナーを見つけながらやっていきたい」

――伊藤氏の人物像は。

泉沢氏「朴訥(ぼくとつ)で人間味のあるいい人。技術者としても優れているし、人間としても素晴らしい。ただ(一度)決めると、こうみえて真っすぐに進むところがある。ある案件で、一緒に事業部の研究を止めたことがある。絶対やるべきではないと、相当な反発を受けながら最後まで彼はしっかり進めた。その時に彼の芯の強さを強く感じた」

――泉沢社長から継承したいことと変えていきたいことは。

伊藤氏「従来のやり方を変え、様々な改革を決断された泉沢社長の決断力と、社内での議論のやり方、社内外の関係者との調整(のやり方)などはお手本になる。事業でいえば、現状から少しシフトしながら変えていく分野もあれば、外部のパートナーと協力してやることもあるだろう。制約をつけず、色々な可能性を考えていきたい」

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