日銀の植田和男総裁は8日、東京都内での講演会で、金融政策運営に関し「最近の円安の動きを十分に注視している」と述べた。一時的な要因を除いた基調的な物価上昇率が上振れするリスクが高まる場合は「政策上の対応が必要になる」と述べ、追加利上げの可能性を示唆した。
急速な円安進行については、植田氏は「企業の事業計画の策定を困難にするなど不確実性を高め、日本経済にマイナスだ」と強調。さらに「為替の変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている面があることは、意識しておく必要がある」と指摘した。円安や原油高が一段と進み、資源や原材料の輸入価格上昇を通じた物価高が長引くリスクに警戒感を示した。
また、3月のマイナス金利解除後も月間6兆円規模の国債買い入れを続けていることに関しては、「今後、大規模緩和からの出口を進めていく中で、減額していくことが適当だ」と強調した。
植田氏は物価動向に関し「デフレ下で社会に根付いた、賃金・物価が上がりにくいことを前提とした考え方が変化してきた」と分析。「先行き基調的な物価上昇率が高まっていけば、緩和度合いを調整していく」と言及した。
日銀の植田和男総裁=4月26日、東京都中央区の日銀本店(AFP時事)
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