Jパワーは9日、2030年度までに国内で運転する石炭火力発電所5基を休廃止すると発表した。発電容量ベースで同社の国内火力発電の3割に当たり、残る発電所は脱炭素燃料との混焼や、石炭由来の水素を燃料にする石炭ガス化複合発電(IGCC)に転換する。世界的に脱炭素の圧力が強まるなか、構造転換を急ぐ。
同社が発電所ごとの休廃止計画を明らかにするのは初めて。高砂火力発電所1、2号機(兵庫県高砂市)は28年度に、松島火力1号機(長崎県西海市)は24年度末までに廃止を予定する。竹原火力3号機(広島県竹原市)と松浦火力1号機(長崎県松浦市)は廃止か、予備電源としての休止のいずれかとする。
5基の発電容量は計2700メガワットに上る。菅野等社長は同日の記者会見で「敷地の広さや(脱炭素燃料を調達する)港湾の制約、設備の老朽度合いなどをもとに休廃止を決めた」と述べた。
残る9基の発電所はアンモニアなどとの混焼を進めるほか、低炭素の火力発電に改装した上で、排出された二酸化炭素(CO2)を回収・貯留する。26年度までの3カ年で火力設備の改修費や研究開発費に300億円を投じる計画だ。
Jパワーは石炭火力発電で国内2位で、電源構成の4割を占めている。4月に閉幕した主要7カ国(G7)の会合では35年に向けて石炭火力発電所を段階的に廃止する方針が決まるなど、石炭火力からの脱却は世界的な潮流だ。Jパワーは需給に合わせて出力を調整するために石炭火力自体は維持するが、50年のカーボンニュートラルに向けた対策を急ぐ。
同日、27年3月期を最終年度とする中期経営計画を発表した。3年間で戦略投資として3000億円を計画し、うち2000億円を再生可能エネルギーの開発に充てる。経常利益は堅調だった24年3月期の1185億円からは減少し、27年3月期で900億円を目指すとした。
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