松本剛明総務相は10日の閣議後記者会見で、個人情報を流出させたLINEヤフーに資本関係の見直しを求めた行政指導について、「親会社等を含むグループ全体でのセキュリティーガバナンスの本質的な見直しの加速化を求めたが、経営権の視点から資本の見直しを求めたものではない」と説明した。日本政府の対応に韓国側から反発の声が上がっていることを問われ、答えた。
昨年発覚した無料通信アプリ「LINE(ライン)」の利用者らの個人情報流出は、親会社である韓国IT大手ネイバー側への不正アクセスが発端だった。事態を重く見た総務省は3、4月に異例となる2度の行政指導をした。
現在、LINEヤフー株の64%を保有する中間持ち株会社の株式を、ソフトバンクとネイバーが半分ずつ保有している。ネイバーはシステムの業務委託先でもあった。総務省は、ネイバーによる資本的な支配の強さでガバナンスが緩んだとみて、資本関係を含めた経営体制や業務委託の見直しなどを求めていた。指導を踏まえ、同じく親会社のソフトバンクはLINEヤフーの中間持ち株会社の株式の買い増しに向けて、折半出資するネイバーとの交渉を始めた。ただ、出資比率の見直しに関し、韓国政府が「差別的措置があってはならない」との立場を示すなどしていた。
LINEヤフーは8日、ネイバーとの業務委託を順次終了し、システムの分離を前倒しするといった再発防止策を発表。松本氏は7月1日の報告期限について「委託先の管理が適切に機能する方策を(同社が)どう報告されるかしっかり確認したい」と述べた。【藤渕志保】
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