堺ディスプレイプロダクト(手前)とシャープ本社(右奥)=堺市堺区で2024年4月28日、本社ヘリから加古信志撮影
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 シャープが、テレビ向け大型液晶パネルを製造する完全子会社、堺ディスプレイプロダクト(SDP、堺市)の稼働を停止する方針を固めた。液晶パネル市況の低迷で採算が取れなくなっており、シャープ全体の赤字の主要因になっていた。シャープの生産停止により、テレビ向け液晶パネルの国内生産はなくなる。

 14日午後、発表する。シャープは液晶事業が足を引っ張り、2023年3月期連結決算で最終(当期)赤字に転落。24年3月期も当初は100億円の最終黒字を想定していたが、2月に業績予想を100億円の最終赤字に下方修正した。収益改善が見込めないと判断し、SDPの稼働停止に踏み切る。

 具体的な稼働停止時期や従業員の処遇、稼働停止後のSDPの活用法も焦点となる。

 SDPは、シャープが約4300億円を投じて09年に稼働した。液晶パネル事業に巨額投資を振り向ける「液晶1本足打法」で業績拡大を狙ったが、中国や韓国勢との競争激化で経営の重荷となっていった。

 シャープはSDPの株式を段階的に売却して業績の立て直しを図ってきた。だが、22年に親会社の鴻海(ホンハイ)精密工業の意向もあってシャープが株式を買い戻して、完全子会社化していた。【橋本陵汰】

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