「天国に一番近い島」といわれるニューカレドニア。
その人気観光地で、暴動が起こっている。
略奪や放火が起こり、非常事態宣言が出される中、日本に関連する企業にも被害が及んでいる。
「天国に一番近い島」は炎に包まれ、今、かつてない緊張に包まれている。
現地で暮らす上田裕子さん「本当に炎が燃え盛っているっていうか、わたしたちも家に火つけられたらどうなるんやろ? って」
日本から飛行機で約9時間、南太平洋に浮かぶフランス領・ニューカレドニア。
今からちょうど40年前、原田知世さん主演の映画の舞台となったことで、日本人の人気の旅行先になっている。
原田さんの名にちなんだ「トモヨビーチ」をはじめ、真っ白な砂浜とエメラルドブルーの海が織りなす、“天国のような光景”を求めて、今も数多くの新婚カップルやダイバーが訪れている。
そんな南太平洋の楽園、ニューカレドニアに異変が起きたのは、現地の5月13日のことだった。
中心都市ヌメアでは、路上で車が燃やされ、建物にも火を放たれたのか、激しく炎上する様子が映像にとらえられている。
起きていたのは暴動。
治安当局などによると、これまでに4人が死亡したほか、事態に対応した警察官や憲兵、約60人が負傷。
200人以上の身柄が一時的に拘束される一方で、刑務所では囚人が脱走を試みたという。
その影響は、日本に関連する会社にも。
焼け焦げた建物はショールームなのか、看板には「NISSAN」の文字が書かれているように見える。
また、SNSには「YAMAHA」と書かれた建物が被害に遭っている写真も。
ヤマハ発動機によると、現地のディーラーから「店が焼失した」との連絡があったという。
今回の暴動は、ニューカレドニアで30年以上暮らす高橋さんも、“これまでにない事態”だと話した。
現地で30年以上生活高橋リサさん「大手のスーパーが、軒並み暴動から逃れるために閉めているので、食料品が尽きてる方もいる。(普段は)治安は日本よりいいくらい、本当はすごく平和な島。日本人は200人か250人いるかいないか程度だが、その半数以上が観光業で食べている方が多い。本当にこれは由々しき事態」
日本人が生活や観光をするエリアには直接の被害はないというが、空港が閉鎖されているため、足止めされてしまった観光客も出ている。
現地の中学校で日本語を教える上田さんは、暴動発生の翌日から仕事に行けず、家にこもるだけの日々に。
現地中学校教師・上田裕子さん「(おととい)火曜日の朝に仕事行けるかと家を出たが、炎が燃え盛っている。それが1カ所だけじゃない。家から出るのが怖い」
建物に火をつけられるだけでなく、女性や子どもが暴徒から暴力を振るわれる事態も耳にしているという上田さん。
天国に近い島を襲う悪夢のような状況。
身を守るための自警団のような組織も生まれ、バリケードなどを作って警戒しているという。
現地中学校教師・上田裕子さん「自分たちで守るしかないって、家の周りもそう。自分たちでグループ組んで入り口をふさぐみたいなことをやっていたみたいです」
なぜニューカレドニアで、これまでにない暴動が発生したのだろうか。
背景にあるのが、ニューカレドニアを統治するフランスで進行中の動き。
現地に10年以上住むすべての市民などに、地方参政権を与えるための憲法改正に向けた動きが続いているのだ。
これに先住民など独立支持派が強く反発し、一部が暴徒化した。
独立支持派の住民「わたしたちは虐げられている。怒っている」
これに対し、フランス政府は非常事態宣言を発令し、軍隊の出動を決定。
さらに、暴動をあおりかねないとして、ニューカレドニアで「TikTok」の使用禁止や遮断を決めるなど、異例の実力行使に乗り出している。
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