【ワシントン=共同】米紙ワシントン・ポスト電子版は7日、ロシアのウクライナ侵攻を巡り、トランプ前米大統領がウクライナに南部クリミア半島や東部ドンバス地方(ドネツク、ルガンスク両州)の国境地帯をロシアに割譲するよう圧力をかけることで終戦に持ち込めると周囲に語ったと報じた。関係筋の話としている。

共和党のトランプ氏は11月の大統領選で返り咲けばロシアの侵攻を終わらせることができると豪語しているが、具体的な方法が報じられたのは初めて。外交専門家は実際に割譲すればロシアのプーチン大統領を利し、武力による領土侵犯を看過することになると懸念を示している。

トランプ氏は非公開の場で、ロシアとウクライナの双方が「メンツを保ちたいと考えており、解決策も求めている」と述べ、ウクライナの一部地域にいる市民はロシア領になってもかまわないと考えているとの見方を関係者に示したという。

ロシアは2014年にクリミア半島を併合した。ドンバス地方全域の掌握を目指し、侵攻を継続している。

トランプ氏は自身の終戦案の中身について公言していない。トランプ陣営の報道担当者は「トランプ氏の計画に関する臆測は、状況を把握していない匿名の情報源から来ている」として報道は不正確だとの声明を出した。

大統領選でトランプ氏と再対決する民主党のバイデン大統領はロシアの侵攻を阻止できなければ、北大西洋条約機構(NATO)の国々にも脅威が迫ると警告している。ウクライナ支援予算を通すよう米議会に訴えているが、トランプ氏を支持する共和党議員の抵抗で審議は停滞している。

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