【ワシントン=共同】米エネルギー省核安全保障局(NNSA)は16日、西部ネバダ州の核実験場で核爆発を伴わない臨界前核実験を14日に実施し、成功したと発表した。バイデン政権では3回目の実施で、2021年9月以来。核戦力増強を進める中国やロシア、北朝鮮に対する抑止力強化の一環だが、軍縮に逆行するとして批判の声も上がりそうだ。
NNSAは核弾頭の安全性や信頼性、有効性の維持、性能改善に向けたデータ収集が実験の目的だと説明。爆発を伴う全ての核実験を禁じる包括的核実験禁止条約(CTBT、未発効)の対象にはならないとしている。
NNSAによると「ニンブル(機敏な)」と呼ばれる実験の第1弾で、西部カリフォルニア州の核研究機関ローレンス・リバモア国立研究所と共同で実施した。今後、ニューメキシコ州のロスアラモス研究所とも協力し、継続するという。
NNSAのアダムズ副長官(防衛計画担当)は「核兵器に使用される物質の重要な情報を得るため、臨界前実験の頻度を増やす計画を立てている」としている。
米国は1992年に地下核実験を停止し、97年に臨界前核実験を始め、実施数は今回を含め34回になった。バイデン氏が副大統領を務めたオバマ元政権時は4回、トランプ前政権下で3回実施された。
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