【パリ=時事】英国やフランス、ドイツなど46カ国が加盟する欧州評議会(本部・仏ストラスブール)は17日、人工知能(AI)に関する初の国際条約を採択したと発表した。9月に署名が予定されており、その後の批准を経て発効する。締約国は、AIが人権や民主主義、法の支配といった基本的価値を損なわないよう適切な措置を求められる。
欧州評議会のペイチノビッチブリッチ事務局長は「責任あるAIの利用を確実にする」ことが新条約の狙いだと述べた。
条約策定交渉は2022年に本格化。生成AIの国際的なルール作りの枠組み「広島AIプロセス」を推進する日本のほか、米国、カナダなどがオブザーバー参加した。批准は欧州以外の非加盟国にも門戸が開かれており、締約国は世界各地に広がる可能性がある。
条約は、AIを巡る人権保護など締約国の義務を明記し、リスクの特定・軽減を定めた。民主主義や法の支配と相いれないと判断されたAIについては、使用の一時停止や禁止を検討。人権侵害に対する救済措置も確保することとした。
締約国は国内の公的機関・民間企業によるAIの設計、開発、使用などを対象に条約を履行するとともに、順守状況をチェックする仕組みを設ける。ただ、「国家安全保障上の利益保護」に関わる場合は除外となるほか、民間企業の規制でも柔軟な対応が認められた。
日本は、欧州評議会が01年に採択したサイバー犯罪条約を12年に締結している。
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