米プラネット・フィットネスは更衣室の利用制度をめぐって文化戦争に巻き込まれている=ロイター

【ニューヨーク=吉田圭織】格安フィットネスジムを展開する米プラネット・フィットネスで、心と体の性が一致しないトランスジェンダーによる更衣室の利用ルールを嫌って解約が広がっている。同社は通期の業績予想を下方修正を迫られた。性の多様性を巡る争点が企業経営に悪影響を及ぼしている。

解約が相次ぐきっかけは、3月に同社の女性更衣室でトランスジェンダーのジム会員がひげをそっている写真がSNS(交流サイト)に出回ったことだ。解約に加え、複数店舗に対して爆破予告まで届いた。

9日の24年1〜3月期決算発表で臨時最高経営責任者(CEO)のクレイグ・ベンソン氏は「3月の始めは好調だったが、(更衣室の)制度をめぐってSNSで炎上してから3月後半には新規会員の登録と会員解約に影響が出た」と述べた。会員解約はなお続いているとし、24年12月期通期予想を引き下げた。

同社のジムでは性の自認に合わせて使用する更衣室を決められる。10年以上この制度は導入されているほか、YMCAなどほかのジムでも同様の制度があるという。

同社は対策として、6月に就任する新しいCEOを発表したほか、月10ドル(約1560円)だった月会費を15ドルに値上げすると発表した。プレミア会員の会費も月約25ドルで試験的に導入するという。

23年にはトランスジェンダーの俳優を広告に起用したことを受け、ビール大手アンハイザー・ブッシュ(AB)が主力ビール「バドライト」の不買運動に見舞われた。20年以上維持していた米国売り上げトップの座を失った。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。