オーストラリアの最大都市シドニーがあるニューサウスウェールズ州で20日、同州の警察が家庭内暴力(DV)の特別捜査を実施し、指名手配されていた226人を含む554人を一斉に逮捕したと発表した。AFP通信などが報じた。

 警察によると、特別捜査は15日から4日間実施された。逮捕された554人は計1070件の罪で起訴された。被害者が踏みつけられて肋骨(ろっこつ)を骨折したり、顔や腎臓を負傷させられたりしたケースがあったという。

 同州の警察・対テロリズム担当相は昨年1年間で警察に寄せられたDV関連の通報が約15万件に上ったと説明。「今回の捜査は警察がDVをいかに深刻に受け止めているかを示している」と述べた。

 豪州では今年に入ってDVで28人の女性が死亡しており、昨年同時期の14人から倍増した。4月にはシドニーの大型ショッピングモールで5人の女性が刺殺されるなど、女性を狙った凶悪犯罪が相次いだ。ジェンダーに基づく暴力やDVへの関心が高まり、4月末には、豪州の各都市で数千人が抗議活動を行った。

 アルバニージー首相はこうした状況を受け、DV被害で多くの女性が命を落としている状況を「国家的な危機」と指摘。DVから逃れてきた女性のための資金援助を増やし、女性差別的なオンラインコンテンツを取り締まると発表していた。(村上友里)

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