NATO=北大西洋条約機構のラスムセン前事務総長は、今月14日、ウクライナへの兵器の供与を巡り「ウクライナの人たちに片腕を縛られた状態でわれわれの代わりに戦うよう頼むことはできない」と述べ、兵器の使用をウクライナ国内に限るとする条件などを撤廃し、ロシア領への攻撃を可能にすべきだと訴えました。
アメリカのヌーランド前国務次官や、シンクタンク「戦争研究所」の専門家なども同じような主張を行っています。
ヨーロッパでもイギリスのキャメロン外相が「ウクライナにはイギリスが供与した兵器でロシア領内を攻撃する権利がある」と述べているほかフランスの議会下院にあたる国民議会の外務委員長が19日声明を出し、「なぜウクライナ人が応戦する権利が否定されなければならないのか」としています。
フランスメディアでも、供与された兵器でウクライナがロシア領内を奥深くまで攻撃できるようにすべきだと専門家が訴えるなど議論が活発になっています。
一方、アメリカ軍の制服組トップ、ブラウン統合参謀本部議長は20日の会見で「本当に重要なことはわれわれが提供した能力を接近戦や、ウクライナ南部のクリミアなどで使用することだ」と述べました。
オースティン国防長官も供与された兵器は、接近戦での成功を可能にする標的に使用することが重要だとしていて双方ともに、供与された兵器はあくまでもウクライナに侵攻するロシア軍に対して使われるべきだという従来の方針を強調しました。
アメリカ政府としては、兵器がロシア領で使用されることでロシア市民が巻き込まれることや、ロシアとの間で緊張が高まることを避けたいなどの思惑もあるとみられます。
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