【NQNニューヨーク=矢内純一】28日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反落し、前週末比216ドル73セント安の3万8852ドル86セント(速報値)で終えた。米連邦準備理事会(FRB)による利下げ開始時期が後にずれるとの見方が一部の主力株への売りを誘った。米債券市場で長期金利が上昇(債券価格は下落)したことも株式相場の重荷となり、ダウ平均の下げ幅は360ドルを超える場面があった。
ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は28日の米CNBCのインタビューで、FRBの利下げが適切になるには「さらに多くの月にわたる(インフレ鈍化を示す)明るい指標」が必要だとの考えを示した。また、インフレ率が下がらなければ、利上げする可能性について言及した上で、「現時点では、何も排除すべきではないと思う」とも述べた。FRBが利下げの判断に慎重になるとの受け止めにつながった。
5月の米消費者信頼感指数は102.0と、ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想(96.0)に反し、4月改定値(97.5)から改善した。1年後の予想インフレ率も小幅に上昇した。米景気の底堅さを示し、米国のインフレ沈静化に時間がかかるとの懸念から、株に売りが出た面もある。
28日の米債券市場では、長期金利が前週末終値(4.46%)を上回り、4.5%台まで上昇する場面があった。米消費者信頼感指数の改善に加え、2年物と5年物の国債入札がいずれも需要の弱さを示す結果となり、債券利回りに上昇圧力がかかった。金利の上昇を受け、株式の相対的な割高感が強まった。
ダウ平均の構成銘柄では、メルクとアムジェンが売られた。マクドナルド、ジョンソン・エンド・ジョンソンも下げた。半面、ホーム・デポとインテルが上昇した。原油先物相場の上昇を受け、シェブロンが買われた。
ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は続伸した。前週末比99.086ポイント高の1万7019.880(速報値)で終え、連日で最高値を更新した。エヌビディアが大幅高となった。人工知能(AI)新興企業の資金調達の発表を受け、業績拡大に寄与するとの見方につながった。
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