【北京=河北彬光】台湾の立法院(国会)は28日夜、多数を占める野党が提案した立法院改革法案を賛成多数で可決した。立法院の権限を強化する法案は野党に有利となるだけに、頼清徳(らいせいとく)総統率いる与党の民進党は審議のやり直しなどを目指す構えだ。民主主義を壊すとして法案に反対する市民の大規模抗議運動も拡大している。

台北の立法院周辺で21日、法案廃止を求めて抗議する市民たち=石井宏樹撮影

 1月の立法院選で民進党は敗北して少数与党となり、野党の国民党が立法院で最多を占める「ねじれ」状態となった。法案は、立法院運営を優位に進めたい国民党と第3勢力の民衆党が提出。総統が立法院で報告することを定例化したり、答弁者の反問や資料提出拒否に罰則を科すなどの内容で、合わせて立法院の過半数を占める野党2党が民進党の反対を押し切った。  20日に発足したばかりの頼政権にとっては打撃となる。台湾メディアによると、法案可決を受け、頼政権や民進党の幹部からは、法案を失効させることが可能な審議のやり直しや憲法審査に付すべきだとする声が相次いだ。

◆法案に市民反発、全土に抗議広がる

 罰則を盛り込んだ法案は「言論封殺だ」として市民の反発も根強く、抗議は台湾全土に拡大した。幸福や自由を象徴する青い鳥にちなみ「青い鳥運動」の呼称が定着し、24日には10万人超(主催者発表)が立法院周辺で法案廃止を訴えた。28日夜も7万人超(同)が抗議した。2014年当時の国民党・馬英九政権の中国接近に抗議した学生が、立法院を占拠した「ヒマワリ学生運動」に次ぐ規模に発展している。 

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