英国の総選挙は2019年以来=AP

【ロンドン=江渕智弘】英議会下院は30日、解散した。総選挙は7月4日に投開票される。スナク首相が率いる与党・保守党は最大野党・労働党に支持率で大きなリードを許している。14年ぶりの政権交代が現実味を帯びる。

総選挙は2019年以来で、25年1月までに実施する決まりだった。スナク氏が22日、インフレの沈静化などを踏まえ、大方の想定より早期の解散を表明した。

下院の定数は650。現在は保守党が345議席、労働党は206議席をもつ。労働党が議長らを除いた実質的な単独過半数をとるには110議席を超える上積みが必要になる。

英ユーガブの23~24日の世論調査によると、労働党の支持率は44%と保守党の2倍。英国の多くの専門家やメディアは労働党が過半数を得て政権を奪還するとみる。

経済や移民対策、欧州連合(EU)との関係などが争点となる。

スナク政権は個人や企業への減税を進めてきた。労働党は私立学校や外国人への増税で財源を捻出し、教員や公的医療サービスを拡充する方針を示す。

労働党は19年の総選挙で企業や富裕層の増税など強硬な左派路線を打ちだして大敗した。今回は法人増税を封印し、経済を優先する姿勢に徹している。

20年のEU離脱を主導した保守党は、インド太平洋地域を重視し、環太平洋経済連携協定(TPP)に参加した。日本とは次期戦闘機の共同開発に取り組む。労働党は伝統的にEUに重きを置く。離脱を機に冷え込んだ関係の修復を掲げる。

【関連記事】

  • ・英労働党、「親ビジネス」で政権狙う 30日下院解散
  • ・[FT]退路なき英首相の賭け 展望描けず解散決断

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。