動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」で選挙戦――。使いこなすのは、130万人以上のフォロワーを抱える右翼政党の若きリーダーだ。

 「私は17歳ですが、あなたならこの国を変えられるという希望を与えてくれた。以前はもっと左派的でしたが、あなたに信頼を置きたいと思います」

 フランスの右翼政党「国民連合(RN)」の党首バルデラ氏(28)のティックトックのコメント欄には、そんな「声援」が並ぶ。

 6日に迫った欧州連合(EU)の欧州議会選では、今回からドイツとベルギーで投票年齢が16歳に引き下げられ、新たに約150万人の若者に選挙権が与えられる。オーストリアとマルタも16歳、ギリシャは17歳、その他の国は18歳以上となっていて、各党にとっては若者の票をどう取り込むかも重要だ。

 130万人以上のフォロワーを持つバルデラ氏。マクロン大統領の支持者が街頭で若者に支持を呼びかけるも、「バルデラ!(を支持する)」と言われてしまう動画は、470万回以上再生された。今年の投稿で最も多い再生数だったという。

 バルデラ氏が南仏を訪れたときには、地元の人たちとワインを傾ける動画や、はやりの音楽をBGMに自撮り写真を投稿するなど、親しみやすさのアピールに余念がない。

 RNは、欧州議会の右翼会派「アイデンティティーと民主主義(ID)」の中核をなす。フランス国内の5月31日時点の世論調査では、RNの支持率は約34%で首位。欧州議会の中道リベラル会派「欧州刷新」の中心を担うマクロン氏の与党連合の支持率は16%前後で、ダブルスコアの差をつけている。(ブリュッセル=牛尾梓)

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