ロシアの製油所ではウクライナのドローン攻撃が相次いだ(3月13日、ロシア西部リャザン州、提供動画のスクリーンショット)=ロイター

産油国ロシアでガソリン価格が高騰している。ウクライナによるロシアの製油所への攻撃が相次ぎ、国内主要取引所での3月の卸売価格は2023年末から一時5割上昇した。政府は3月から半年間のガソリンの禁輸を決めた。

国内最大のサンクトペテルブルク商品・原料取引所によると、一般的なレギュラーガソリン(オクタン価95)の1トンあたりの価格は、24年3月下旬に昨年末比で一時5割高となる約6万5千ルーブル(約10万7千円)とおよそ半年ぶりの高値に急騰した。

4月に入っても6万ルーブル前後で推移している。

ウクライナは24年に入り、ロシア各地の製油所へのドローン(無人機)攻撃を繰り返しており、設備の損傷による生産減が卸売価格の上昇につながった。ロシア紙コメルサントによると、ロシアの石油会社は3月最終週のガソリン生産量を2月平均から12%削減した。

1月には南部クラスノダール地方にある石油大手ロスネフチの製油所への攻撃で火災が起きた。3月にはモスクワの南東にある西部リャザン州の製油所が標的となるなど、被害は10拠点以上に広がった。

ロシア政府は2月末、ガソリンの輸出を3月から6カ月間禁止すると発表した。ノワク副首相は「国内の需要増に対応し製油所を計画的に維持するため禁輸を決めた」と述べた。

プーチン大統領は11日、ロシア軍がミサイルなどでウクライナ各地のエネルギー施設を攻撃した狙いについて、ウクライナによるロシア石油施設攻撃への対抗措置だったと主張した。

店頭で販売されるガソリンの小売価格は小幅上昇にとどまっている。ロシア連邦統計局によると、レギュラーガソリンの価格は23年末から4月上旬までで0.9%上昇した。

石油会社が備蓄していたガソリンの市場供給を増やしていることや、政府による価格統制が影響しているとみられる。政府はウクライナ侵略による国民生活への負担を抑制するため、生活必需品の価格維持など経済対策を進めてきた。

政府は23年9月にも国内の燃料高騰を受けて軽油やガソリンの輸出を一時的に禁止した。独立系メディアはウクライナ侵略の長期化でロシア軍が使う燃料が増えた点などを指摘していた。

ロシアでは燃料需要は春から夏にかけて増加しやすく価格上昇圧力が高まりやすい。気温が上昇し農作業向けの需要が高まるほか、観光需要も高まり人々の自動車での移動の増加が見込まれる。

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