米紙ニューヨーク・タイムズは4日、米国製の武器を使って、ウクライナ軍がロシア国内を攻撃したと報じた。米政府は5月下旬に従来の制限を緩め、米国製の武器による越境攻撃を一部許可したが、実際に攻撃が確認されたのは初めて。

  • 【これまでの経緯】米国がウクライナのロシア国内攻撃を一部容認 ハルキウ周辺に限定

 報道によると、ウクライナ議会で国家安全保障・防衛・インテリジェンス委員会の副委員長を務めるイエホル・チェルニエウ議員が同紙の取材に対し、米国製の武器の使用を認めた。攻撃はウクライナ国境に接するロシア南西部ベルゴロドにおいて、高機動ロケット砲システム「HIMARS(ハイマース)」を使用し、ロシア軍のミサイルシステムを破壊したという。

 ロシア軍は5月10日から、ウクライナ北東部ハルキウ州で新たな地上侵攻を開始し、攻撃を強めていた。こうした戦況を受けて米政府は5月30日、ハルキウ周辺への攻撃に対する反撃に限定して、米国が提供した武器を使った越境攻撃を認める方針転換を明らかにしていた。今回、攻撃が確認されたロシアのベルゴロドは、ロシア軍が国境を挟んでハルキウを攻撃する拠点となっている。

 サリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)は4日、米国が提供した武器の使用について明言は避けたが、「ロシア軍は国境を越えたハルキウの北からウクライナに攻撃している。だから(バイデン)大統領は、ウクライナは米国製の武器を含めて反撃する権利を持つべきだと考えた」と説明した。(ワシントン=高野遼)

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