カナダで日本人シェフが何者かに殺害された。現地を取材すると、被害者は多くの人に慕われる“お兄ちゃん”のような存在。バンクーバーを愛していたというシェフに一体何があったのだろうか。

ギターを弾きながら仲間と歌う男性。
カナダで何者かに殺害された日本人シェフ・垣内航さん(32)。

事件は、カナダのバンクーバー市にある中華街に近い路上で起きた。
現地の警察などによると、垣内さんは6月5日午前3時半ごろ、何者かに刺された状態で発見され、その後、死亡したという。

勤め先である店のオーナー、ジャスティン・オルトさんは「すごく優しい人。みんなが好きな人、明るい。ワタル君は僕と同じようにバンクーバーを愛していた」と涙ながらに語った。

音楽好きだったという垣内さん。
勤め先で撮影された映像では、大勢の人と共に笑顔でギターを弾いていた。

同僚シェフ・田邉吉弘さんは「仕事中でも、いつもみんなのことを気にかけて、お兄ちゃん的な人だった。きのう、メンバー全員で店に集まって、10時間くらいみんなで泣いたりした」と話した。

事件現場で涙をぬぐっていた垣内さんの友人は「めちゃくちゃいい人で、優しくて、人に恨まれることもないし、まさかこんな形で別れるとは思っていなくて、言葉にならない」と語った。

また、バンクーバー市長も異例の声明を発表し、「彼は優れたシェフだった」などとその死を悼んだ。

“お兄ちゃん”的な存在で、多くの人から慕われていたという垣内さんが、なぜ事件に巻き込まれたのだろうか。

同僚の男性は、事件直前まで垣内さんと一緒だった友人に話を聞いていた。

同僚シェフ・田邉吉弘さんは「みんなで飲んで、そのあとに友達を現場近くの家に送って、(垣内さんが)『バイバイ、ライドシェア待つから先帰っていいよ』って。(友達は)帰って、(垣内さんが)ライドシェアかタクシー待っている時にやられたのかなって」と話した。

実は、現地の日本総領事館は5月、事件現場の周辺で「犯罪が多発している」として注意喚起を出したばかりだった。

現地の警察は殺人事件として捜査している。

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