ロシアのプーチン大統領は7日、サンクトペテルブルクで開催した経済フォーラムでの討論で、ウクライナからの攻撃を想定した核兵器の使用について、現在は核を使う状況にはないとの認識を示した。核を使用できるのはロシアの領土保全が脅かされる場合に限ると述べた。一方的に併合したウクライナ東・南部4州の制圧地域を拡大する方針も示した。
プーチン氏は経済フォーラムの全体会合での討論で質疑に応じた。ロシアメディアによると、プーチン氏は核兵器を使用するための条件としてロシアの軍事ドクトリンに触れ「使用できるのは、国の主権や領土保全が脅かされた場合という例外的なケースにとどまる」と述べた。「そういった状況には至っていない」とも述べ、現時点での核使用を否定した。
バイデン米大統領は6日、米ABCテレビのインタビューで「ウクライナが特定の標的を攻撃する場合、国境付近で(米製兵器を)使用するのを許可した」と述べた。ロシアの首都モスクワや大統領府への攻撃は承認していないとも述べた。
プーチン氏は欧米諸国がウクライナに供与する武器による攻撃で事態がエスカレートすることは考えにくいとみて、発言のトーンをやや抑えた可能性がある。プーチン氏はウクライナ侵略について「最終的な勝利のために核兵器は必要ない」とも述べた。
ロシア軍はウクライナ東・南部4州を2022年秋に一方的に併合し、東部ドネツク州などで前進を続ける。プーチン氏は「我々の支配下に置くべきところから敵を追い出す」とも述べた。当面はドネツク州や南部ザポロジエ州など併合4州の制圧地域拡大に注力するものとみられる。
プーチン氏はロシア軍の追加動員の可能性について「動員は計画していない」と強調した。24年に入り16万人以上が契約軍人になったといい、1日あたり1000人以上が自発的に徴兵事務所を訪れているという。
ロシアは兵員確保のため22年9月に部分動員令を発令し、30万人超の予備役を招集した。発令後に招集を回避しようとする人の出国が相次ぎ、国民の多くは動員令への不安感が強い。ロシア軍は志願兵である契約軍人の募集による兵員増に切り替え、前線に投入しているものとみられる。
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