世界文化遺産登録を目指す佐渡島の金山について、文化庁は6月6日、ユネスコの諮問機関・イコモスが追加の説明を求める「情報照会」を勧告したと発表しました。このイコモスの勧告について解説します。
ユネスコの諮問機関として佐渡島の金山の調査を行ってきたイコモスは今回「情報照会」の勧告を出しました。
この「情報照会」とはどのようなものか…まず、イコモスの勧告には4段階の区分があります。
▽「記載」…世界遺産に登録
▽「情報照会」…追加説明を求め、翌年以降の審議に回す
▽「記載延期」…より綿密に調査し、推薦書の再提出が必要
▽「不記載」…世界遺産に登録せず
情報照会は上から2番目の評価で「追加の説明を求め、翌年以降の審議に回す」とされています。
こう聞くと、今年の登録は難しいようにも感じますが、正式に登録可否を審議する世界遺産委員会はイコモスの勧告を覆して世界遺産に登録するケースも多くあり、実際に去年は「情報照会」の勧告を受けていた6件全てが委員会で登録されました。
こうしたことからも、政府としてはあくまで7月の委員会での登録を目指し、対応していく方針です。
では、何にどう対応していくのかということで具体的な勧告の内容を見ていきます。今回、対応が求められたのが大まかにこちら。
▽構成資産の範囲を一部除外すること
▽資産を守るために周辺の開発を制限する緩衝地帯を広げること
▽資産を採掘する権利の所有者が採掘を再開しないと約束すること
一方で、佐渡金山をめぐっては韓国が朝鮮半島出身者の強制労働があったとして反発し、そうしたことを含めた“全体の歴史”を説明するよう主張しています。
今回、イコモスは先ほどの3点の勧告とは別に、追加で配慮を求める事項の一つとして「全ての時期を通じた資産に関する全体の歴史を包括的に扱う説明、展示戦略を策定し、施設などを整えること」と指摘しています。
これが韓国の主張を受けてのものなのかどうか、文化庁によりますと「具体的な記述はないということではっきりと言えないが、この点についてもこれから対応を検討する」としています。
現在、世界遺産委員会の委員国には韓国も含まれています。こうした指摘に対する日本側の対応も委員会の審議に向けては注目されることになりそうです。
果たして、地元の悲願である世界遺産登録となるか…世界遺産委員会は7月21日からインドで開かれます。
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