7日から中国で始まった、日本の大学入学共通テストに相当する全国統一大学入試「高考(ガオカオ)」。
“究極の一発勝負”をめぐり、受験生への応援やカンニング対策が過熱している。

たった一度で決まる勝負「高考」始まる

中国・四川省を走るバスの車内からカメラがとらえたのは、沿道を埋め尽くす人、人、人。
この数十台に連なって走行するのは、大学受験の試験会場へ向かうバスだ。

2024年は受験生の数が2023年から51万人増え、約1342万人と、過去最多を更新する見通しだという。

受験生を応援する人々
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中国経済の先行き不透明が強まる中、より良い大学に進学し、より良い就職先を見つけたいという背景から、再受験する生徒が増えたことが、受験生が過去最多となった要因の1つとみられている。

受験生:
受験生全員が良い結果を得て、理想の学校に入れるように願っています。

高学歴を目指す争いが年々激しくなる中国。
しかしその門は狭く、北京のトップ校「北京大学」と「清華大学」に入れるのは、全受験者のトップ0.05%程度だという。

しかも、たった1回の「高考」の点数で入学できる大学が決まってしまうため、受験生はとにかく必死に勉強し、この日を迎えるのだという。

白熱する“応援合戦”、なぜチャイナドレス?

受験生の親や学校の先生も、受験への応援に熱が入る。
高校の校長先生が女性用のチャイナドレスを着て、受験生にエールを送る様子も見られた。

校長先生:
生徒の皆さん!皆さんのために、私はきょう、すべてを投げ出しました!

生徒たち:
いいね!

校長先生:
受験がんばれ!受験必勝!好成績を収めろ!高3がんばれ!

生徒たち:
受験必勝!

このほかにも、男性が女性用のチャイナ服を着て、受験生を応援する姿があちらこちらで見られた。

実は、チャイナドレスは中国語で「旗袍(チーパオ)」と発音され、同じく「旗」の字から始まる「旗を掲げたとたんに勝利を収める」という意味の熟語にかけた、“げん担ぎ”なのだという。

官民一体となって…万全のバックアップ態勢

受験生にとって、人生をかけた1回限りの真剣勝負。
“受験工場”とも呼ばれる高校では、生徒たちは日が昇る前の午前6時前に起きて校庭をランニング。
ランニングの順番を待つ間も手にはノートが。
時間を惜しんで勉強していた。

さらにこの学校では、昼食の時間にも全員起立し、大声でテキストを読み上げ、猛勉強。
この“勉強漬け”の成果か、この高校は毎年多数の一流大学合格者を出していることで知られているという。

「高考」の期間中は、官民一体となって受験生をバックアップ。
身分証明書を忘れてしまったある受験生は、白バイ隊員に助けを求めていた。
この白バイ隊員は、受験生を試験会場に送り届け、学生は無事受験に間に合ったという。

受験生:
ありがとうございます。

隊員:
もう行ってください!

さらに公安当局は、試験会場周辺では「車を減速する」、「クラクションを鳴らさない」、「違法駐車しない」などと呼びかけ、消防当局はサイレンを鳴らすのを自粛するなど、受験生が試験に集中できるように対策がとられている。

カンニングには厳罰…対策も進化

一方で、あとを絶たないのがカンニング。
消しゴムの中をくり抜いてデジタル機器のようなものを埋め込んだりと、年々手口も巧妙化しているため、その対策も“規格外”になっているという。

北京教育当局が公開した映像には、パトカーの警護を受けながら、試験用紙を輸送するトラックの姿が。

さらに会場には、携帯電話などの電子機器の持ち込みを防ぐため、「スマート検査ゲート」なるものも設置された。
教室内に設置された防犯カメラはリアルタイムでモニタリングされ、AI(人工知能)によって怪しい動きを察知するシステムも登場した。

そのほか、警備員の緊急対応に関する演習を行ったり、通報システムが大学受験期間中に正常に運用できることを確認したりと、態勢が整えられていた。

「高考」でカンニングを行った受験生には、厳重な罰則がある。
試験において個人で不正行為を行った場合には、当該科目の成績が取り消しになるほか、事案の重大性に応じて1~3年の受験資格停止に。

2021年には、受験生が携帯電話を試験会場に持ち込み、問題を撮影しアプリに投稿。
ネット上で回答を聞くというカンニング行為が発覚し、すべての試験の成績が取り消しとなり、厳重に注意を受けた。

また組織的なカンニングには、さらに重い罰則が科せられる。
2020年には、1人の受験生が同級生など少なくとも3人と組織的にカンニングを行い、懲役3年・執行猶予5年と6000元(現在のレートで約12万8000円)の罰金を言い渡されている。

厳重警戒の中、中国で始まった「高考」は一部の省を除き、2日間にわたって行われる。
(「イット!」6月7日放送分より)

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