自民党の佐藤正久元外務副大臣と、立憲民主党の玄葉光一郎元外相が9日、フジテレビ系『日曜報道 THE PRIME』(日曜午前7時30分)に出演し、アメリカの大統領選挙でトランプ前大統領が再選される場合の北朝鮮情勢の行方について議論した。

玄葉元外相は、トランプ氏が大統領になった場合に4回目の米朝首脳会談が行われる可能性について、「あり得ると思う」「北朝鮮はなんだかんだ言ってアメリカのことばかり気にしている」と述べた。

佐藤元外務副大臣は、「米朝の首脳会談が非核化ということを中心に動き出せば、その中で拉致という問題も出てくると思う」と述べた。

一方、龍谷大学の李相哲教授は、「北朝鮮が核兵器を捨てることはまずない。それを捨てたら、金正恩政権も終わりだ」と指摘。

番組コメンテーターの橋下徹氏は、拉致問題の解決に向けて、「北朝鮮の安全を保障する代わりに、拉致問題の解決も迫っていく。制裁一辺倒だけの話では、もう収まらないと思う」と述べた。

以下、番組での主なやり取り。

梅津弥英子キャスター(フジテレビアナウンサー):
これまで3度にわたり行われたトランプ氏と金正恩氏の首脳会談だが、2018年6月には共同声明で朝鮮半島の完全非核化を約束。しかし、翌年には交渉が決裂。完全非核化はいまだ実現していないという状況になっている。

松山俊行キャスター(フジテレビ政治部長・解説委員):
そうした中で、今回、トランプ前政権のときの大統領副補佐官のフレッド・フライツ氏に単独インタビューしたが、フライツ氏の話では、トランプ氏が政権にまた返り咲いた場合、金正恩氏との4度目の会談についておそらく、すぐにでも開かれるのではないかという見通しを示した。トランプ氏自身が、前政権での北朝鮮政策は成功だったというふうに最近もフライツ氏本人にも語ってたという話を言っていたが、こうした北朝鮮の非核化に向けた交渉がすぐに再開できるのかどうか。

玄葉光一郎(立憲民主党・元外相):
結論から言うと4回目の会談はあり得ると思うし、願望も込めて言えば、是非もしトランプ政権ができたら、この北朝鮮、あるいは台湾海峡も含めて、しっかりとコミットしてほしいというふうに思う。北朝鮮ってやっぱりなんだかんだ言って、アメリカのことばかり気にしている。アメリカにこそ認めてもらいたい、体制を保証してもらいたい。こういう思いなので、強い言葉を使うかどうか別として、トランプ氏と金正恩氏が2人で会う可能性は十分あるだろうと。ただ、そのときに本当に後戻りできないような非核化の合意ができるかどうか。拉致の問題も、アメリカばかり見てる金正恩氏なので、当然トランプさんの頭作り、側近の頭作りをしてアメリカの力を借りるっていうこともあるだろう。北朝鮮はもしかしたら、“もしトラ”に備えているかもしれないという気さえするところもあって、日本にいろいろとメッセージを出している。ある意味、“もしトラ”への備え、日米間のくさびを打つってことも、あるだろうと。

松山キャスター:
例えば、金正恩氏が岸田首相に対して能登半島地震の後に「閣下」というふうに言って秋波を送るようなメッセージを出した。

玄葉氏:
ある意味、米朝をやろうとすれば日本が邪魔になるっていう側面がある。日本とある程度良くしておきたいっていう気持ちがあった可能性はあると思う。

松山キャスター:
第2次トランプ政権が仮に誕生したとしたら、その場合に直接交渉という可能性が実は出てきているという話があったが、直接交渉で本当に非核化が実現できるのかどうか。

橋下徹(番組コメンテーター、弁護士、元大阪府知事):
そこは本当に交渉次第というか、それでも会って交渉しないことには物事は動かないので、トランプ政権になるかどうかわからないが、ただ、ロシアによるウクライナ侵略を見ても、核兵器を持たずに軍事同盟のない国っていうものが、いかにその紛争の当事者になって犠牲になるかってことを、北朝鮮も目の当たりにしている。北朝鮮に対して、今までは制裁、制裁で来ていたが、あれだけの小国なので、自分の国の安全を守りたいという気持ちもあるだろう。そうであれば、北朝鮮の安全保障というところも我々は考えながら、北朝鮮の安全保障を提供する代わりに、拉致問題の解決っていうことも迫っていくというような、制裁一辺倒だけの話では、もう収まらないと思う。

松山キャスター:    
まさに安全の保障ができるかどうかってあたりが米朝首脳会談2回目のハノイでの会談の決裂のポイントだったと思うが。

李相哲(龍谷大学教授):
北朝鮮が核兵器を捨てることはまずない。それを捨てたら、金正恩政権も終わりなので。だから、核兵器に関してはおそらく凍結、しかもそのあと軍縮に持ち込む。そうすると日本とか韓国は、北朝鮮が核を1発でも持っていれば脅威なのでそれに同意できない。なので、完全解決は難しいというふうに思う。

松山キャスター:
米朝首脳会談でトランプ氏はことあるごとに日本の拉致問題も提起していたと。当時の安倍元首相の意向を受けて、トランプ大統領は何度もそれを言ってたということがあったが、仮にトランプ氏が再選を果たした場合に、拉致問題が動くことがあると思うか。    

佐藤正久(自民党・元外務副大臣):
あり得ると思う。やはり北朝鮮は米朝というレンズを通して日朝を見ているので。まさに当時の安倍首相とトランプ氏との関係で、トランプ氏自身が金正恩氏と会ったときに、「拉致問題でいい加減な曖昧な発言では、俺はシンゾーに話すことができない」と迫ったぐらいなので、これは米朝の首脳会談が非核化ということを中心に動き出せば、その中で拉致という問題もあると思う。特に北朝鮮にとって、日本の米朝における価値っていうのは、邪魔されないことだ。第2回目の米朝首脳会談ハノイで、1番失敗の大きな理由の1つに、安倍元首相が邪魔をしたというふうに北朝鮮は思っているので。まさに米朝を邪魔するなと。そのための日本の価値っていうのは十分あると思う。

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