北朝鮮がロシア人観光客の受け入れを再開して、4カ月が経過した。2月の最初のツアーは98人が参加したが、規制の厳しさから参加者が減少し、5月31日から予定されていたツアーが「中止になった」とアメリカ政府系の放送局が報じた。参加者によると、ツアー中は、街中の自由な移動も制限され、常に監視された状態だったいう。
「身ぎれいな人たちだけ撮影を」…過度な規制で参加者減少
北朝鮮が、ロシア人観光客の受け入れを再開してから、約4カ月が経過し、当初は人気だったツアーに変化が起きていることが分かった。
この記事の画像(11枚)動画投稿サイト「YouTube」に投稿された映像は、2024年2月に組まれた最初のツアーの様子だ。
98人が参加し、平壌市内や、金正恩総書記肝いりのスキー場などを3泊4日で周遊。ところが、その後ツアーの参加者が減少し、5月31日から予定されていたツアーが「中止になった」と、アメリカ政府系の放送局「ラジオ自由アジア」が報じた。
ツアー客減少の理由として挙げられたのは、観光客に対する過度な規制だった。それを物語る場面が、投稿された動画の中にあった。
金日成主席と、金正日総書記の銅像前で記念撮影する際には、ある掟があるという。
ツアーに参加したボスクレセンスキー氏は「兵士のようにまっすぐ直立しなければなりません。『やっかいなことが嫌なら、我々の親愛なる指導者を遮ってはいけない』と言われました」と話しており、銅像の全身が入るよう、直立した状態で撮影するよう言われたという。
また、北朝鮮の観光ガイドからは、街中を撮影する際の注意点についても、「軍人や汚い作業着の人の撮影をすることは禁止です。身ぎれいな人たちだけを、どうぞ撮影してください」と告げられたという。
市民にも厳しい規制…敬意示すため自転車降りる
外を自由に歩くことはできず、常に監視が付くというツアー。さらに動画では、北朝鮮の市民に対する、厳しい規制も紹介されていた。
ツアーに参加したボスクレセンスキー氏は「ある場所に来ると自転車を降りて歩いています。指導者に敬意を示すために歩かなければいけないのです」と話しており、肖像画のある場所では、自転車を降りて歩くのがルールだという。
北朝鮮では髪型にも制約があり、ボスクレセンスキー氏がその1つにチャレンジする様子も投稿されていた。「これにします」と見本の中から髪型を選び、切られること約2時間。北朝鮮で多い髪型になっていた。
北朝鮮は、今後もロシア人観光客のツアーを受け入れるとしていて、夏にはビーチリゾートへのツアーを実施するとしている。
甲南女子大学・鴨下ひろみ准教授は「北朝鮮には観光資源がそれほどたくさんあるわけではないので、冬場はスキー、夏場であれば海水浴・ビーチというのが一番利用しやすい。ロシアをまず入れて、次は中国というような形で、海外からの観光客を増やしていこうということなんだと思います」と話している。
(「イット!」 6月7日放送より)
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