ロシアの独立系メディア「メディアゾナ」は10日、英BBCとの共同調査で、ロシアの民間軍事会社ワグネルがウクライナ侵攻の戦闘員として採用した4万8千人以上の受刑者のうち1万7千人以上が死亡したことが分かった、と伝えた。約35%が死亡した計算となり、「人命軽視」の戦術が改めて浮き彫りになった。

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 報道によると、ワグネルは2022年7月から、少なくとも4万8366人の受刑者を戦闘員として採用。大半がウクライナ東部ドネツク州の激戦地バフムートに投入された。ワグネルが同地の制圧を発表した23年5月までに1万7175人以上が戦死したとしている。受刑者以外の戦死者は2372人で、実に88%が受刑者だったことになる。

 メディアゾナによると、死者数などは、ワグネルの情報筋から入手した戦闘員の家族らへの補償金の支払いに関する書類などから算出した。バフムート周辺で戦死した戦闘員遺族への補償金支払総額は1080億ルーブル(約1900億円)にのぼるという。

 ワグネル創設者エフゲニー・プリゴジン氏は生前、受刑者の戦闘員は約5万人で、バフムートでの戦死者が約2万人、戦死した受刑者は全体の半分だとしていた。

 ワグネルは、除隊後の恩赦などを条件に受刑者を採用して部隊を増強し、ロシア軍の戦況を立て直した。だが、兵器の補給などをめぐってロシア国防省と対立し、23年6月に反乱を起こしたが失敗。ワグネルは実質的に解体となった。

 同年8月には、プリゴジン氏が搭乗するジェット機が爆発し、ロシア当局は同氏の死亡を確認したと発表した。

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