中国では、3年前に施行された「海警法」に基づいて、中国海警局の取締りなどの具体的な手続きを定めた法令が、15日から施行されます。

この中には、中国の出入国管理の規則に違反した疑いのある外国人を30日間拘束でき、複雑なケースの場合は最長60日間拘束できるという規定が設けられています。

この規定をめぐって、中国と領有権を争うフィリピンは、中国側が南シナ海で司法権を行使することで、実効支配の既成事実化を強める試みだと捉え、マルコス大統領は先月「完全に容認できない」と強く反発しています。

また、アメリカのインド太平洋軍が「地域の緊張をエスカレートさせる可能性がある」などとして懸念を示しているほか、日本政府も関係国の正当な権益が損なわれないよう注視する姿勢を示すなど、中国側が南シナ海や東シナ海で外国人の拘束などを行う可能性がないか、懸念を強めています。

専門家 “グレーゾーンの手法を拡大させている”

防衛省防衛研究所の増田雅之中国研究室長はNHKの取材に対し、中国の習近平国家主席が去年11月に東シナ海を管轄する海警局の司令部を視察し、「法に基づいて海上での違法な活動を取締る必要がある」と指示したとしたうえで、「今回の規定の施行で、中国海警局がこうした法執行を実施することが可能になった」と分析しています。

そして「沖縄県の尖閣諸島周辺を含む東シナ海や南シナ海で、中国による、より一歩踏み込んだ法執行活動が実行に移される可能性がある」として、中国が武力攻撃に至らない、いわゆるグレーゾーンの手法を拡大させているという見方を示しました。

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