南アフリカ国会は14日、5月末の総選挙後、最初の議会を開いた。議会では、現職のラマポーザ大統領が再選された。総選挙(下院・定数400)では、単独統治を続けてきた与党アフリカ民族会議(ANC)が初めて過半数割れし、野党第1党などと連立政権を組む。
ケープタウンの国会で14日夜、ラマポーザ氏は議会の過半数の票を得て、続投が決まった。総選挙での過半数割れが確実になった後、ラマポーザ氏は「国民統合政府」(GNU)を掲げ、連立相手となる野党の参加を呼びかけていた。
GNUには、ANC(議席数159)と野党第1党の民主同盟(DA・同87)などが参加。アパルトヘイト(人種隔離)政策を撤廃し、全人種が参加した選挙の実現から30年で、初めて連立により政権を維持することになる。
ANCは、アパルトヘイト解放闘争をルーツにもち、かつて初代黒人大統領のマンデラ氏が率いた。解放闘争では旧ソ連の支援を受け、いまも新興国グループBRICSなどの枠組みでロシアとの政治的結びつきがある。
自らの抑圧された歴史をパレスチナの人々に重ね、国際社会の場では繰り返し連帯を訴えてきた。昨年12月には、ガザへの攻撃をめぐってイスラエルを国際司法裁判所(ICJ)に提訴した。
一方、DAは白人党首で、人口の約1割を占める白人からの支持が厚い。親欧米で経済重視の路線をとる。ANCはDAと連立を組むことで、西側諸国とは一線を画してきた南アの外交に影響を与える可能性がある。(ケープタウン=今泉奏)
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