ウクライナが提唱する和平案を巡る国際会議「平和サミット」が15日、スイス中部のビュルゲンシュトックで始まり、岸田総理大臣やアメリカのハリス副大統領、フランスのマクロン大統領など各国の首脳らが参加しました。

この中でウクライナのゼレンスキー大統領は「世界が対立するブロックに分裂してしまうという、もっとも恐ろしい事態を避けることができた」と述べ、ロシアとの関係も重視するグローバル・サウスと呼ばれる新興国も含めておよそ100の国や国際機関が参加したとして意義を強調しました。

その上で、今後、各国と行動計画を作成してロシア側にも伝えるなどウクライナに有利な形で和平を目指したい考えを示しました。

そして、ゼレンスキー大統領は再び「平和サミット」を開いた上で戦争の終結を確定させたいと強調しました。

会議前日の14日、ロシアのプーチン大統領が、和平交渉を始める条件だとする自身の提案を一方的に示しましたが、これについてアメリカのハリス副大統領は「彼が求めているのは交渉ではなく降伏だ」と批判した上でウクライナ支援を継続する考えを示しました。

一方、サウジアラビアのファイサル外相は「困難な妥協」という表現を使い、和平の実現にはロシアを議論に参加させる必要があるという考えを明らかにしました。

岸田首相 ウクライナ支援継続の決意示す

岸田総理大臣は「平和サミット」に出席し、ウクライナの平和の実現は世界を協調に導くために象徴的に重要だとして、日本も支援を続けていく決意を示し、関係国に連携を呼びかけました。

この中で「日本は2年前にロシアが侵略を開始した直後から『こんにちのウクライナはあすの東アジアかもしれない』との考えのもと、ロシアに対する厳しい制裁と強力なウクライナ支援を実施してきた」と述べました。

また、イタリアでのG7サミットにあわせてゼレンスキー大統領と行った会談で、新たな協力文書を交わしたことなどを説明しました。

その上で「公正で永続的な平和をウクライナで実現することは、国際社会全体を分断・対立ではなく、協調の世界に導いていくために象徴的に重要だ。ウクライナの美しい大地に平和を取り戻すべく、国際社会と緊密に協力し、取り組みを継続する」と述べました。

そして具体的な取り組みとして、
▽原子力安全の議論に積極的に貢献していくとともに、
▽地雷除去や電力分野などでの支援を続けていく決意を示し、関係国に連携を呼びかけました。

そして、スイスでの日程を終えた岸田総理大臣は、日本時間の午前4時すぎ、政府専用機で現地を出発し、帰国の途につきました。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。