バイデン氏は移民政策で硬軟を使い分けている=ロイター

【ワシントン=芦塚智子】バイデン米大統領は18日、米国市民と結婚した不法移民を強制送還から保護し、永住権申請をしやすくする措置を発表する。バイデン氏は4日に不法越境者の難民申請を大幅に制限する大統領令を出したばかり。11月の大統領選の大きな争点の一つである移民問題で硬軟のバランスを取る狙いがある。

政権高官によると、対象は17日の時点で米国に10年以上居住し、米国民と法的に結婚している人。申請が認められれば最高3年間の労働許可が与えられ、その間に米国内で永住権を申請することができる。対象者の21歳未満の子供も同様の保護を受ける。

現在は米国民と結婚した不法移民が永住権を申請するにはいったん国外に出る必要があり、承認されるまで長期間にわたり米国に戻ることができない。高官は新措置により「家族が離ればなれになることを防ぐ」と強調した。

申請受け付け開始は今夏の終わり頃を予定し、米国民と結婚したメキシコなどからの不法移民と子供が恩恵を受ける見通しだという。

バイデン氏はさらに、幼少期に親に連れられて不法入国した「ドリーマー」と呼ばれる若者が就労ビザ(査証)を取得しやすくする措置も発表する。米国の大学を卒業し、米企業から学位に関連した職の採用内定を受けていることなどが条件となる。

ホワイトハウスで18日午後、オバマ政権が幼少時に親と不法入国した若者の救済措置「DACA」を導入してから12年を記念するイベントで発表する見通しだ。

不法移民に厳しい政策を主張する共和党が反発するのは必至で、措置の差し止めを求める訴訟も予想される。

バイデン氏は4日、南西部のメキシコ国境から流入する不法越境者が一定数を超えた場合、難民申請を受理せずメキシコや本国に即時送還する措置を発表。人権団体が違法として訴えを起こしている。

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